令和5年の総括

今年も11月にオーディオ・セッションとハイエンド・オーディオ・ショーが開催されて参加をした。ようやく今回からコロナ関連の制約は一切なくなった。
 いつものことながら、お目当てはスピーカーを中心とした試聴とそこで演奏されるお気に入りのアルバム(音源)で、今回も試聴会で採用された音源を数枚購入した。

しかし、年々アナログ音源の採用比率が上がって、オーディオ・ビジネスの観点から流行の様になってきている傾向には、いささか時代の逆境で違和感を覚えるものがある。

小生としては真摯に次世代のデジタル再生にも真摯に注力して欲しいと思う。


今回注目したスピーカーは、


B&W801D4 Signature

BW801D4 Signeture

Magico S3 Mk3

MAGICO S3 Mk2

MARATEN MINGUS Septet

MARTEN.jpg

であった。


 普段、拙宅のSTS-Ultimate+の鮮度の高いサウンドを聴き慣れていることもあって、どうしても鮮度の高いスピーカーに惹かれるが、年々着実にスピーカーの平均的な鮮度が上がってきているように感じる。
 特にB&W801D4 SignatureB&Wのモニター・スピーカーとしてHi-Fi指向のコンセプトを維持しつつも、以前よりより再生音の音楽的魅力が増してきている様になってきた。
 しかし、スピーカーの基本的なバッフル形状は同じなので、特にツィーターのハウジング形状からくるシャープで鋭い高域の特長は依然として感じる。

B&W801D4 Signatureはバスレフであるが、MAGICOは一貫して密閉型という違いがあるものの、低音域の再生にはあまり違いを感じさせないレベルになっている。

いつも感じるのだが、拙宅のSTS-Ultimate+MAGICOの音質に近いものを感じるが、やはりツィーターの振動板がベリリウムとダイアモンドの違いからくる高域の印象の違いを感じるもののトランジェントと付帯音の少なさには共通したものを感じる。

最近のスピーカーは、ウーファーの振動板の素材を強固な素材にすると共にエンクロージャーも強固な構造にすることで圧迫感を抑えているものと思われるが、それにしてもMAGICO S3 Mk3の低音も密閉型にもかかわらず量感といい、圧迫感を感じさせないのは素晴らしい。
 MARATEN MINGUS Septetは、小生としては、最も注目をしていたスピーカーであったのだが、 残念ながら試聴した席がまずかったのか、新採用のbliesma製と思われるダイアモンド・ツィーターとベリリウムのミッドレンジの硬いサウンドに良い印象を感じないままに試聴タイムが終わった。

今年の初夏には、シマムセンでピエガの新モデルであるCoax611を聴く機会があったが、新開発の圧電ユニットに若干の個性は感じるものの、予想外に魅力的なサウンドを聴くことができたのが印象に残っている。

 

例年のごとく試聴会で演奏されたアルバムで気に入った音源を数枚調達して、拙宅のシステムで比較再生することで、新たな再生バランスを模索したのであるが、今回はそのおかげでSTS-Ultimate+のサウンド・バランスを崩してしまった。

 

ハイエンド・ショーの試聴会で偶然にもOKさんと出会ったので、以前から考えていたSTS-Ultimate+の中高音域をチャンデバによるマルチアンプ駆動からLCネットワークへの転換の構想を試行すべく、精緻な計測やネットワーク設計にも高度な知識が豊富なことから、まずはSTS-Ultimate+の音響計測と最適なLCネットワークの設計の検討をお願いすることになった。

 

先般その一環として、200kg越えのストーン・スピーカーをスピノラマとまでは行かないが、0°~90°までの指向特性も含めた計測をすべくリスニング・ルームの中央へ移動して10°ずつ方向を変えながら無響室を想定した周波数特性を測定してもらった。

STS-Ultimate_-1.jpg


STS-Ultimate_-2.jpg


結果は残念ながら、4000Hz越えにピークがあり、その補正をLCネットワークで完全に補正することは困難との見解で、ネットワーク化の構想はツィーターのバッフル板の形状見直しでピークを改善してから再検討することとなった。

BD30.jpg


C168.jpg


その計測過程でストーン・チューブ内の吸音状況も確認すべく、各音域のインピーダンス測定をしてもらったのであるが、右側のストーン・チューブの気密性が確保されていないことが判明し、調べたところバッフル板のリニューアル時の締め付け不良であることが判明したのは思わぬ救いとなった。

 

今年は、オーディオ・ルームのドアの吸音やリスニング・ソファーの入れ替え、キャビネットを撤去することで、リスニング・ルーム内の付帯音の低減で定位の改善など効果を得たこともあって、更に壁に飾っている絵画の見直しも行った。具体的には部屋左右の絵画の撤去と正面の絵画の位置を下げた。


20231229オーディオルーム


サイドの絵画を撤去した時には、センターの定位がより明確になったのであるが、絵画のガラス面の反射バランスの変化で一時期サウンドに纏まりがなくなり、改めてルーム環境の重要性を認識させられる結果となった。

JBL4350をベースとしたホーン時代では、ほとんど意識していなかった音像定位や空間再現など、サウンドのバランス以外の臨場感の改善にかなり意識が向くようになってきた。

従って根気よく調整することで、今までには聴くことが出来なかった次元のサウンド空間の纏まりを感じるようになってきたことから、単に低音から高音迄の音圧バランスだけではなく、空間表現も含めたトータルでのバランス調整をする必要が出てきた。

その過程で当然にチャンデバによるクロスオーバーやアッテネータの微妙な調整はより精緻なレベルになってきており、この微調整による最適化には、回路変更が容易に行えないLCネットワークでは現実的ではないことから、マルチアンプ方式のメリットを最大限生かしながらの追い込みが必要であることを考えると、当面LCネットワーク化は断念した方がいいのかもしれないと思っている。

 

 今回のオーディオ・ショーでROONがハーマン傘下に入ったことで、ROONの2ヶ月間無償お試しクーポンを入手したので、ようやくROONを試してみることが出来た。

結果、現状のNASを音源としたネットワーク環境で試してみる限り、音質的な違いを感じることもなかったことと、操作面において現状のLumin Appの方が使い慣れていることや、ROON CoreとしてPC環境を占有することなどから試行を中断した。

またストリーミング音源については、しばらくカナダ製Bluesoundのプレーヤーを2世代使ってきたが、NAS音源の鮮度を超えられないことから中断していたが、来年IO-DATASoundgenic-Plusの発売で、ようやくAmazon-Musicが本来のデジタル音源でストリーミング出来るようなので、是非、ストリーミング音楽の高音質化にも再チャレンジしてみたいと思っている。

スポンサーサイト



リスニング・ポイントの変更

リスニング・ポイントを変更した。

 リスニング用ソファーの位置を20cmスピーカーよりに移動したことで、大きく音楽的な印象が変わった。

リスニング・ポイント


DSC04523.jpg 

 今までリスニング・ポイントの変更しても、 大きく印象も変わることもなかったので、永年リスニング・ポイントを動かすこともなかった。

 最近、リスニング・ルームのチューニングをして臨場感が向上してきた中で、友人宅で知ったビリー・ジョエルの有名な「Piano Man」のボーカルを拙宅で聴いたとき、ちょっとボーカルが引っ込んだ印象が気になったので、リスニング・ポイントをちょっと前に移動したところ、ボーカルがより明瞭な印象になったので、他のボーカルアルバムでも確認してみると、明らかにボーカルがよりリアルに聴けるようになった。

 3人掛けのソファーの時は気軽に位置を移動できる状況ではなかったのともあってリスニング・ポイントの変更も試さなかった事情もある。

 

 今までボーカル系のアルバムではボーカルがバックの演奏で歌っているという対等な位置関係であったが、明らかにボーカルが前面に出て、より臨場感が増した印象に変化したのである。

 それにボーカルのエコー成分がこんなに録音されているのかと思うくらい、アルバムによってはエコーをかけ過ぎではないかと思うくらいの印象で、エコーが消え入る余韻も心地よい印象に変化したのである。

 ミッドレンジがストーン・チューブになって、より音像表現が鮮明になり、リスニング・ルーム内のラック類の移動や撤去で付帯音が減った事が寄与していると思われるので、更にリスニングルーム内の簡素化を進めたいと思っている。

リスニング環境の見直し

現在のリスニング・ルームを建設してから永年使ってきたリスニング・チェアーとして使ってきた3人掛けのソファーを撤去して1人用のリスニング・チェアーに入れ替えた。

3人掛けのソファーは、今では珍しくなくなったが、購入当時はセンターの背もたれが前に倒れてテーブルになるタイプのソファーで、両サイドの席は足を伸ばしてリクライニング出来る仕様のソファーで、家内と映画や音楽ライブの鑑賞時には重宝してきた。

レイアウト変更4


しかし3人掛けのソファーは、普段座るセンターの席はリクライニング出来ない固定の仕様なので、別途にオットマンをおいて足を延ばしていた。

そんな事情や加齢で、ゆったりと座って聴きたいとの思いから1人用の電動リクライニング・ソファーに入れ替えた。

結果、期待通りのリラックスした姿勢でゆったりと音楽を聴けるようになった。

レイアウト変更2

 

この入れ替えを機会に、リスニング・ルームのAVアンプを設置していたラック類等をルーム内の付帯音を低減する観点から思い切って処分し、最小限にすべく配置を見直しをした。

幸いネットワーク・オーディオ対応でCD類等のラックは大半を処分したが、オーディオ機器関連の様々なアクセサリー類やケーブル、工具等の保管収納に必要なラック類に相当な保管物があったが、これらを別の物置に保管棚を整備してリスニング・ルームから出来る限り撤去することにした。

レイアウト変更5


リスニング・ルーム内のラック類や保管物があることで、ルーム内の音が拡散されて消音効果も期待できるという見解もあるが、スピーカーの再生音で多くの保管物が共振・共鳴するわけで、それらの付帯物のノイズも含めてリスニング・ルームのサウンドを構成しているので、リスニング・ルーム内の大きなソファー、ラック類や収納物を撤去することで、どの様にサウンドが変化するのかを試すことにした。

またこの見直しの機会に、友人のKさんからもらって保管していた吸音材の設置でサウンドがどの様に変化するかも試すことにした。

吸音材は1枚しかもらっていなかったので、まずはスピーカーの両サイドの壁に配置して、壁面からの反射音を低減することで、どの様にサウンドが変化するのかを試したく、Kさんの手持ちの吸音材をもう1枚借りて試したところ、輝きのないそっけないサウンドに変化したのには驚いた。

 

拙宅のオーディオ・ルームは、建材メーカーのダイケン製音響部材でオーディオ・ルームに適した0.3/secの残響時間になる様、部材が構成されているのであるが、やはり必要以上に吸音するとサウンドに輝きがなくなってしまったことで、改めてオーディオ・ルームとしての性能の高さを実感することが出来た。

一方、オーディオ・ルームの左右対称配置にこだわって、ドアは部屋の後方中央に配置したが、そのドアの反射音の影響も気になっていたので、ドアの上部に吸音材を配置したところ、明らかに圧迫感がなくなって自然な空間の響きになった。

やはり、後方のドアの反射音がこの部屋の圧迫感を感じさせていたことが実証出来た。これに気を良くしてドアの上部だけでなく下部にも吸音材を設置してドア全面に吸音材を設置したところ、吸音過剰という印象で、改めて微妙なバランスで変化することが分かった。

結果、リスニング・ポイントの耳の後方にあたるドアの上部のみに吸音材を配置することで、密閉された防音室の閉塞感が大きく改善で出来たことは大きな成果であった。

レイアウト変更3


リスニング・ルーム内のソファーの変更やラック類などの撤去による音響効果については、定在波が目立つようなデメリットもなく、むしろ付帯音の影響が低減したことによってセンタリングがより明確になって空気感も増した印象に変化したので、今後さらに設置されているラック類も撤去を進めたいと思っている。

レイアウト変更1


今まで、拙宅のリスニング・ルームはオーディオ・ルーム仕様として建設したこともあって、あまり音響上のチューニング・アクセサリー等の設置などには関心を払ってこなかったが、改めてオーディオのサウンドはリスニング・ルームの環境も含めて決定づけられる要素も大きいということを実感させられた。

アナログ再生環境の断捨離

今年になって初めてのブログの更新となった。

 この間にダブルウーファーズの永瀬会長が他界された。永瀬会長がJBL-4350のユーザー会として立ち上げられたダブルウーファーズのメンバーに加えていただいて、様々なオーディオ・ファイルとの交流が始まって以来、長きにわたって38cmダブルウーファーとホーン・システムとの対峙を経て、現在では当時は想像もしていなかったストーン・スピーカーの開発を経て、今日のオーディオ環境に至っている。
 残念なのは、ストーン・スピーカーが実力を発揮し始めた6年程前、永瀬会長が学会の帰路に拙宅に立ち寄りたいとの連絡をいただいたのであったが、小生が長期のバリ島旅行の予定が入っていて、残念ながら日程が折り合わなかったのが今となっては大変心残りである。


永瀬会長と
 

昨年には、ネットワーク・プレーヤーをLUMIN U1miniから同社のP1に変更し、ストーン・スピーカーのバッフル板をAccutonのユニットに最も適合した形状と強度も改善したが、この5月に発行されたMJ誌の「オーディオマニアのリスニングルーム訪問」には、タイムリーにもその最新の写真に差し替えて掲載していただけた。


MJ誌1
 


MJ誌2

今年に入って、アナログ・レコードの媒体及び再生にかかる機材を全て断捨離した。

 システムのレベルアップによってアナログ再生の音質もアナログ機材がメインの時代では聴くことが出来なった程の高音質で聴くことができたが、ここ3年くらい前から、デジタル再生環境がアナログ再生の音質や臨場感を凌駕するようになってから、デジタル再生に一元化すべく、思い切ってアナログ音源・機材の断捨離を考えはじめて徐々に処分を進めてきた。

そして先月、小生のオーディオの原点ともいえるSP盤の蓄音機や永年使ってきたYAMAHAGT-2000についても、先日新たな活躍の場へ向けてわが家を後にした。
 特にYAMAHAGT-2000については、レコード店にCD盤が3割くらい占めるようになった頃に最後のレコード・プレーヤーのグレード・アップとして、オーディオショップへの展示用に入荷されたものを導入した機材であったが、これで小生のオーディオ史のページが変わったものと思っている。


蓄音機


GT2000.jpg


デジタル再生環境については、昨年後半にはネットワーク・プレーヤーをLUMINP1にレベルアップしたが、本機には光ネットワークのインターフェイス(SFP端子)が装備されていることから、さらにデジタル・ノイズの低減効果を試すべく、DELAのハイエンド仕様のネットワーク・スィッチ(DELA S100/S2)とSFPの光ケーブルセット(OP-SFP)を借りて試してみることにした。

拙宅のネットワーク・オーディオ環境におけるネットワーク・スィッチは、6年前からオーディオ用の(BS-GS2016/A)を使ってきたのであるが、SFP環境にしてどのようにサウンドが変化するのかを確認してみることにした。


SwitchingHub-3.jpg

 お試しの機材に差し替えて、いつものアルバムを聴き始めたのであるが、最初はあまり変化がないように思われたのであるが、ネットワーク・スィッチを元の環境に戻すと明らかに空間表現が狭く感じるようになり、もとの環境に戻れなくなった。
 ネットワーク・スイッチ本体の差替えでも音質改善があるが、やはりSFPの光ケーブルへの変更による相乗効果が大きいと言える。
 SFP経由にすると明らかに音楽表現の空気感が向上し、音楽がより楽しくなるので導入することにし、先日、その機材が届いた。


S100.jpg
SFP.jpg
 デジタル再生環境についてもアナログ環境以上に様々な観点からチューンナップの要素が考えられるが、やはりその違いを正確に把握できるアンプやスピーカーの再生環境があってのことだと改めて痛感させられる。


SFP3.jpg

SFP2.jpg


20230623システム構成

 今後、ネットワーク再生環境のROONオンリーモードについても、まだ試すことが出来ていないので、今後、ネットワークのプロトコルの違いによる変化についても確かめてみたいと思っている。

バッフル板のリニューアル その2

 バッフル板をリニューアルしたタイミングを捉え、以前からの懸案であったユニットへの配線仕様の変更とウーファー内のシンサレート(消音材)の量を減量することにした。

 具体的には、ユニットへの配線に使うファストン端子の交換と結線方法を変更した。
 今まではユニットへの接続に使うファストン端子やスピーカー端子のラグにオーディオ用ハンダでハンダ付けしていたが、これを全てハンダレスの圧着接続に変更した。


ファストン端子


スピーカー端子

 この変更は佐伯多門氏が来られた際に「スピーカー内部の配線にハンダ付けは良くない」との話をされていたので、この機会に変更することにしたのである。
 その根拠は、ハンダが一種の異種金属間で半導体のような作用をすることが良くないかもしれないと思っている。

 ウーファー内のシンサレートについては、200Hz以下ではほぼ消音効果が期待出来ないことと、石板には共振防止に鉛板を貼っていることに加え、石板をボルトで締め付けていることで予想以上に共振が抑えられている。
 そんなことからエンクロージャーの容積を稼ぐ意味でもポート近くに入れていたシンサレートを撤去した。


ストーン・ウーファ1


ストーン・ウーファ2

 付帯音が極めて少ないストーン・スピーカーにしてから、わずかな仕様変更で音の変化を感じることが多くなった。

 JBL-4350Aがメインであった頃は、アクセサリー類などでサウンドが大きく変わることはあまりなかったが、ストーン・スピーカーになってから、今まででは考えられないことで音が変化することが多くなった。

 2年前、スピーカーに接続しているバナナプラグが振動で緩むので、ネジで強固に締めつけるタイプのバナナプラグにスピーカー側のみ変えたところ、サウンドにかなりの違和感が出たことがあった。
 そこでアンプ側も含めすべて同じ仕様のバナナプラグに変えたところ違和感も収まったという経験がある。

 また数か月前も知り合いのブックシェルフタイプのスピーカーを点検のためにオーディオ・ルームに置いていたところ、かなりの違和感が出て原因がわからなかった。
 しかしストーン・スピーカーにした頃、オーディオ・ルームに同居している38cmウーファーが原因で音がまとまらなかったことを思い出し、過去の経験からスピーカーをオーディオルームから撤去するとサウンドの違和感がなくなり元へ戻るという経験をした。
 オーディオ・ルームに複数のスピーカーが同居しているケースは少なくないと思うが、鳴らしていないスピーカーもかなり共鳴しているので、相互干渉の影響は少なからず出ているものと思われる。

 拙宅はストーン・スピーカーになってから付帯音が極めて少ない環境になっているので、より変化を感じやすくなっているのだと思っている。
 10年前にはフロントにJBL-4350A、リアにTANNOY-オートグラフが同居をしていた時期もあったが、どちらのスピーカーも相当にエンクロージャーの付帯音が大きいスピーカーなので余り気にならなかったことを思い出すと隔世の感がある。

 この様な体験から、現在のサウンド・バランスは、極めて微妙なバランスの上に成立していると感じることがあるので、今回の様に大きな仕様変更では、オーディオ的に理にかなった改良をしているつもりであるが、実際に音出しをしてみないと必ずしも期待する結果になるとは断言できないのである。

 バッフル板のリニーアル後、配線の確認を兼ねて音出しを始めた。ユニットの位置は若干が変わっているのであるが、1cm程度なので無調整で音出しをしてみたところ、今までとあまり変化はないように感じられなかった。

 その後、改めてタイム・アライメントの計測をし、わずかに0.5cmツィーターのチャンデバのディレイタイムの変更であったにも関わらず印象が大きく変わり、センターがビシッと決まり、音像の骨格がしっかりしたよう感じられた。

 その後、様々なジャンルで試聴を重ねていく中で、ロック系の音源では大きくトランジェントが向上していることが確認できた。
 やはり、バッフル板の強度を上げたことが激しいサウンドのトランジェントの向上に大きく貢献していることが実感できた。

 数日間サウンドを評価する中でサウンドの骨格が以前よりしっかりした感じなので、ユニット毎の周波数特性を計測し、ウーファーとミッドレンジのクロスオーバーの見直しも試して見ることにした。

 バッフル板の変更前では、80Hzまでは下げると中低音の不足の印象で良くなかったが、今回はバランスも崩れずにトランジェントがより向上した印象なので、このバランスで暫く評価することにした。
 ウーファーのクロスオーバーを280Hzまで上げて、周波数特性のほぼ平均化したた設定も評価してみた。
 このバランスでもサウンド的には全く遜色がないのであるが、やはりクロスオーバーを100Hz前後に設定したバランスと比較すると、周波数特性では中低音に落ち込みがあるものの、より鮮度が高い印象になるので、より鮮度の高いクロスオーバーが100Hzの設定に落ち着いた。


STS-Ultimate_280Hz周波数特性


STS-Ultimate_80Hz周波数特性


 先日、「大阪ハイエンド・オーディオ・ショー2022」で聴いたMAJICO A5も付帯音の少ない共通した傾向のサウンドを感じた。

 バッフル板をリニューアルしてから試聴を繰り返した結果、明らかに以前のSTS-Ultimateのサウンドを凌駕していることが明確になってきた。

STS-Ultimate_R.jpg


STS-Ultimate_L.jpg


STS-Ultimate_.jpg


 ついては、バッフル板リニューアル後のモデルをリニューアル前モデルと区分するために「STS-Ultimate+」とに呼称変更することにした。

バッフル板のリニューアル その1

 ストーン・スピーカーのミッドレンジ用ストーン・チューブとツイーターのハウジングに装着しているバッフル板は、米国デュポン社のコーリアン(通称:人工大理石)を採用しているが、STS-LimitedからSTS-Ultimateへユニット変更してバージョンアップした際にバッフル板も最新ユニット用にリニューアルするつもりであった。
 しかし、新たに設計したバッフル板の加工を請け負ってくれる業者が見つからないことから、やむなくSTS-Limitedのバッフル板を追加工して使ってきた。
 特にダイヤモンド・ツィーターのBD30-6-458Cell-Conceptモデルは、ユニットの形状が大きく変わったのであるが、旧モデル用のアダプターを介して取付けていたので、これもスッキリ収めたかった。
ストーンチューブ 

旧ツィータバッフル板


旧ミッドバッフル板


 今までコーリアンでバッフル板の制作を依頼してきた業者では、バッフル板の周りをバッフル効果の改善するためのアール形状に加工をすることができないことから、金属での制作も含めて検討してきたが受託加工先が見つからないまま今日までリニューアルを先送りしてきた。

 そのような経緯のなかで、ストーン・スピーカーが世界的にも稀な石材のエンクロージャーを採用したスピーカーの成功例として「スピーカー技術の100年」に掲載していただけるとのことなので、何とかこの機会に当初の構想通りのバッフル板にリニューアルすべく本腰を入れることにした。
新ツィータバッフル板図面
新ミッドバッフル板図面

 コロナ前になるがブログ繋がりで知り合ったMilesTADさんは金属加工には詳しいことから金属製のバッフル板の制作も打診したが、相当な重量になることから旋盤加工では困難であるとの判断から金属製のバッフル板の制作は断念し、材質も従来どおりコーリアンで、さらに強度を上げて制作することにした。

 以前、今は廃業された「麻布オーディオ京都」の野中氏から聞いていた3次元の木工加工業者を思い出し、そこに制作を打診することにした。


 この業者は木工が中心ではあるが、NCルータの活用よる三次元加工を得意とされている業者で、硬い木材に近いコーリアンの加工も可能なのではないかとの思いから打診したところ、過去に加工の実績があるとのことで設計図面をもって工場を訪問することにした。

上谷木工:https://www.uetani-mokkou.com/
 工場の場所を調べて驚いたが、拙宅から自転車でも行ける場所なのである。
 社長にアポイントをとって、工場を訪問したところ、木製の招き猫や裸婦像の立体加工の試作品が置かれおり、加工技術の高さに期待が膨らんだ。

 社長と面談して設計図面を見せたところ、スピーカーのバッフル板であるとすぐに理解していただけた。
 木工加工業者ということで、以前にもスピーカー・エンクロージャーの制作依頼を受けられ、ラウウンド形状のエンクロージャーの受託制作されたようで、試作品のエンクロージャーも置かれており、そこで曲げられる合板が存在することも知らされた。

 当社で加工が出来なければ日本では加工できる所はないとの社長の言葉に、並々ならぬ加工技術に自信も持たれているようであった。
 ここ何年もバッフル板のリニューアルに普請してきた問題が、拙宅から目と鼻の先にある業者で解決できるとは思ってもみなかった。

 設計図面の説明をして見積もりを出していただくことになったが、本業は木工加工なので指定した色のコーリアンの材料調達から始めなければならないということで、完成までに最終的には2ヶ月以上の期間を要した。
新バッフル板1

新バッフル板板2


 コーリアン製のバッフル板を石材に固定するためには、石材に打ち込まれたPCカールピースに木ネジで固定するのであるが、その取り付け穴の位置が左右とも数ミリの誤差があるので、穴の位置を現物からフィルムに位置を転写して指示をする必要があった。
 1mmでも狂えば取付け用の木ネジが入らないので、最も気を配ったところである。

 バッフル板のリニューアルを機に強度を上げるために厚みを倍増した。
 コーリアンの標準的な厚みは12mmなので、STS-Limitedではその厚みにしていたが、ロックの激しい音源ではバッフル板に振動が感じられることがあったので、今回は2枚重ねにして倍の厚みの24mmにした。
 又、ミッドレンジのユニットの配置を同心円の位置からずらして配置した。
 これは佐伯多門氏が来られた際に、氏が永年勤務されてきたダイヤトーンではバッフル板へのユニットの同心円配置は禁じ手となっているとの指摘があり、その指摘を受けて後日バッフル解析をしたことがある。
 バッフル解析の結果、3,000Hz以内では問題はないとの結果であったが、現在のクロスオーバーは、3,550Hzになっているので可能な限りミッドレンジのユニットをバッフル板の中心からずらす配置とした。
 コーリアンは加工をすると細かい傷で白っぽくなるので、今までは艶出し塗装をしてきたが、今回は15,000#のサンドペーパーで磨き込んで床用のワックスで光沢を出す方法を採用した。
新バッフル板3

新バッフル板4


新バッフル板5

 バッフル板への取付けに使用する木ネジも皿形状の木ネジを採用してバッフル板から飛び出ない形状にした。
 一部ミッドレンジのユニットの取付けの為の追加工をしてユニットを取付けて、最も微妙なバッフル板への取付けも、ツィーター、ミッドレンジとも見事に狂いもなく取付けることが出来た。

 

改めて小生の追求する理想のスピーカー制作への思いを受け止めてくれる人達との出会いの結晶として、このストーン・スピーカーが誕生したのだと思うと感慨深い。

一泊オフ会

久々に充実したオフ会となった。

 ストーン・スピーカー「STS-Ultimate」のストーン・チューブとツィーター部分のハウジングの制作は埼玉県の石材店である野中石材店「ストーン・テクノ」に依頼した。

DSC01449.jpg


ストーンチューブ


石材製のホーンの制作などでご存知の方も少なからずおられると思うが、その代表者である野中芳郎氏と5年ぶりに連絡がついて拙宅を訪問していただくことになった。
 「STS-Ultimate」の石材によるウーファーの制作にあたってストーン・テクノにも打診したのであるが連絡がつかず、結局近くの石材店を通じて中国系石材業者「グレートストーン」の福建省工場で制作することになった。

ストーン・スピーカーの完成後も野中氏と連絡が取れず、もうすぐ5年を迎えるが先日まで制作者にお披露目が出来ないままでいた。

 完成後5年間にユニットを2回変更してSTS-LimitedからSTS-Ultimateにアップグレードして現在に至っているが、エンクロージャーがすべて石材製でサウンド的にもそれなりの評価を得たということで、「スピーカー技術の100年」の著者である佐伯多門氏から石材製エンクロージャーのスピーカーの成功例として掲載したいとの誠に名誉な連絡を受けたこともあって、是が非でも制作に関わって頂いた野中氏にもその旨を伝えておきたかったのである。
スピーカー技術の100年


 野中氏とは永年連絡がつかなかったのであるが、石材店経由でようやく連絡がついた。
 連絡が途絶えたのは、ご高齢で一線を退かれたこともあってメール・アドレスを変更されていたのが原因のようで、連絡がついてストーン・スピーカーのお披露目を打診したところ、二つ返事の快諾で拙宅を訪問されることになった。

 友人のY氏とお二人で、早朝に自宅を出発され東京駅7時すぎの新幹線で京都駅には9時半には到着されるという熱心さである。

 お二人ともご自宅ではホーン・システムによるマルチ・アンプ・システムを構築されていこともあり、当方のマルチアンプ・システムの構成もよく理解していただけたが、精緻にタイム・アライメント調整したダイレクトラジエター・ユニットよるマルチ・アンプのシステムや28cmのシングル・ウーファーによる重低音再生など、一般的なホーン・システムとは随分アプローチの違う手法で追い込んだサウンドに関心を持たれた様だ。

IMG20221027164724.jpg
 

様々なジャンルの音源を聴いていただいて、夕刻からは近くの天然温泉で旅の疲れを癒やしていただいてから、近所の行き付けのイタリアンでディナーとなった。


 ディナー後は、お持ちいただいた音源での試聴と、LUMIN P1によるAmazon-Musicによるストリーング音源の試聴をしていただいた。

 拙宅で宿泊をしていただいた翌日は、朝食後にオルガンを中心としたe-onkyoBlue-Rayでサラウンド音源を聴いていただいてから、小澤征爾指揮の幻想交響曲をプロジェクターの映像付きで鑑賞いただいた。
幻想交響曲


 帰宅までに5時間は要するということで、14時過ぎの新幹線で帰路につかれるので午前中でオフ会はお開きとなったが、2日間による拙宅のシステムでアナログ盤の演奏以外のフルコースを聴いて頂いた。

 これでストーン・スピーカーの完成後、心残りであった制作者へのお披露目も叶ったことを大変嬉しく思っている。

 後日、拙宅でのオフ会に対する感想を長文のメールで頂いたが、野中氏の永年のオーディオへのスタンスや見識の高さに感銘を受けた。
 その中で、拙宅のサウンドを「あたかも渓流の清冽な水の様に透明で無色な印象」で「Yさんと私が二日にわたって楽しませていただいた音楽は、今年最大の収穫であり、長く記憶に残るものになった」との評価をいただき、遠路はるばる訪問をいただいた甲斐があった様で安堵した。

ネットワーク・プレーヤーの更新

ずいぶん、久しぶりのブログへの投稿となった。


 実に10ヶ月ものあいだブログの更新を怠ることになって、親しい友人からも小生に何かあったのかと心配するメール来る羽目になって、そろそろブログの更新をしなければと思いながらも、特段の話題もないことから、とうとう気がつけば10月も半ばになってしまった。

 オーディオ・システムについては、昨年の暮の微調整以降、様々なジャンルで全く設定変更の必要を感じさせないくらい満足出来るサウンドを奏でてくれている。
 サウンドのグレードに不満はないのであるが、普段使っている機材の新モデルが発表されるとやはり気になってくる。永年のオーディオ・ファイルの難儀な性ともいえる。

 拙宅のソース音源はNASで、LUMIN U1 MINIのネットワーク・トランスポート経由で直接デジタル・チャンデバであるAccuphaseDF-65にデジタル入力で聴いているが、このネットワーク・トランスポートが、最近LUMIN U2 MINIにバージョンアップされた。
 今まで随分とデジタル機器を更新してきたが、アナログ機器と違ってデジタル機器はハードウェアの構成はパソコンと同類なので、高級なデジタル機器を購入しても新しいデジタル処理デバイスの登場やネットワーク環境の変化、デバイスの演算処理能力が向上してサンプリング周波数が上がると、サウンドの鮮度も確実に上って、旧モデルは音質的に急速に陳腐化してしまうので、高価なデジタル機材は導入する気分にならない。
 LUMIN も廉価なD1,D2,U1-MINIと使ってきたが、幾度のモデルチェンジを経て着実にサウンドの鮮度が向上して来たことから、当然のごとく新モデルのU2-MINIにも関心が向くのであるが、一方少し前にP1という新しいコンセプトのモデルが登場し、こちらも大いに気になっていたものの導入コスト的に躊躇していた。


LUMIN-U1-mini.png 

 P1LUMINXシリーズに採用されているデュアルトロイダル電源を搭載し、高精度なフェムトクロックシステムを採用している上に、多様な入力端子を搭載し、何よりもHDMI端子を装備している点がLUMINの他のモデルにはない大きな魅力と可能性を感じていた。

そんな思いのなかで、突然にLUMIN-P1を入手する機会が訪れた。


P1.png


既に導入してから半月が経過し、短期間の感想ではあるが、今まで使ってきたU1-MINIは若干高域に華やかさを持っていたが、P1は落ち着いたサウンドである。
 P1DACを搭載しているが、拙宅はデジチャンのDF-65が実質DACになっているので、P1のアナログ出力をDF-65へ入力してDA変換、AD変換を何度も繰り返すのを嫌ってしばらくは聴かなかったのであるが、実際にアナログ出力経由で聴きはじめるとすっかりそのサウンド・バランスの良さに魅了されてしまった。


オーディオルーム最新
 

 最近になってP1HDMI端子にAppletv 4Kfiretv-4K-maxを接続してストリーミング・ミュージックを試したところ、それまで拙宅のミュージック・ストリーマーのメインと位置付けていたBluesound NODEのサウンドを一気に凌駕し、別次元とも思えるサウンドを奏でたのには驚いた。


firetv-4Kmax.png
 

firetv-4Kmax-2.png

まだ導入して間もないのであるが、今後、MDMIfiretv-4K-maxによる Amazon-musicUltra-HDの高音質出力の改善やROON-ONLY-MODEさらには光ネットワーク接続などの機能も搭載しているので、今後機会をみて試してみたいと思っている。

今年 最終の試み

 マルチアンプ方式のサウンド・バランスの要とも言うべきチャネル・ディバイダーの設定を14ヶ月ぶりに見直しを試みた。

 

 スピーカーの駆動方式をマルチアンプ方式にしてから、ほぼ17年になるが、その間に様々なスピーカー・ユニットの変更やサウンドの追い込みなどで、長くても3ヶ月以上もチャンデバの設定の変更をしない期間はなかったのではなかろうか。

 

 しかし現在は、昨年の10月に低域を100Hz、高域は3550Hzに設定変更して好結果を得て以来、先日までの約14ヶ月もの間、様々なジャンルで充実したサウンドを聴かせてくれたこともあって、デジチャンの設定を変える必要性を感じることはなかった。

 

 これは小生の長いマルチアンプにおける変遷の中でもかつてないことなのであるが、考えてみればこの間はコロナでオーディオ・イベントやオフ会もなく、拙宅以外のサウンドと比較して聴く機会も無かったことから、設定の見直しのきっかけもなかったからともいえる。

 

 コロナ感染も落ち着いてきて、試聴会イベントやオフ会も再開され、先月開催されたオーディオ・セッション、と更にその後に再び気になっていたスピーカーを試聴会などで聴いたサウンドが刺激となって、新しいバランスへの見直しをしてみようと思ったのである。

801D4試聴会


TAD-EX試聴会1


TAD-EX試聴会2 

 

 具体的には、久々にJBLサウンドなどを聴いて、もう少し中高域にインパクトがあっても良いのではないかとの思いが募ってきたのである。

 

 30年以上もJBLのホーン・システムを聴いてきて、現在のダイレクト・ラジエーター・ユニットに宗旨替えをした経緯の中で、ジャズ演奏等で時としてホーン・システムの強烈なインパクトが欲しいと感じることは少なくはなかったのであるが、そのインパクトの強さが他のジャンルで逆効果になることも充分に承知しているだけに、永年その落としどころにはかなりの腐心をしてきたのも事実である。

 

 拙宅の「STS-Ultimate」のツィーターは、Accutonブランド30mmCellConceptタイプのダイアモンド・ツィーター(BD-30)であるが、このツィーターの下限は1800Hzから使えるのであるが、様々な経緯を経て現在は、3550Hz以上で使っているのであるが、これを2000Hz近くまで下げることで、中高域のインパクトの向上を目指してチューニングを試みることにした。

 

 ツィーターをBD-30に変更した当初は2000Hzに設定して使い始めたと思うのであるが、あれから2年以上経過して、周辺の環境も変更しているので、再度クロスオーバーを2000Hz2500Hz2800Hzの3パターンを設定・チューニングして試聴を開始した。

 

2000Hzではカウント・ベイシーの様なナローレンジのオールドジャズでは素晴らしい結果で、チューニングのつもりが、しばし聴き込んでしまう程であった。

 しかし、曲やジャンルによっては、かなり好結果なのであるが、特にワイドレンジな音源になると高音域が耳についてくるのである。様々なジャンルで音楽的な感動レベルのバランスを得るのは大変難しい。

 クロスオーバーの変更で、その時は新しい再生バランスの発見かと思いきや、日を変えて聴き直すと納得出来ないバランスの繰り返しなのである。

 

 人の聴覚は、脳によってサウンド・バランスを平準化させるので、数日に渡って評価しないと決められないところが、このマルチウェイによる各ユニットのバランス設定の難しいところである。

 

 この試聴をまる1ヶ月かけて、3つのパターンをトライしたのであるが結局、現在の設定値である3550Hzのクロスオーバーのサウンドを凌駕することは出来なかった。

 やはり、ミッドレンジをシングルコーンの様に可能な限り再生帯域を広げ、不足する音域をウーファーとツィーターでカバーする現在の設定が、もっとも音楽的に有効なクロスオーバーの設定であると納得している。

 

 今回のクロスオーバーの変更は、ユニットが受け持つ音域が変動するのであるが、アナライザーで直接音を計測しても周波数特性に目立った変化が見られないのである。

 もちろん、クロスオーバーの変更による指向性が変化して、30°、60°特性の変動要因もあって間接音も変化するので、その変化によって、間接音も含めた音楽表現のニュアンスも変わるので、人の耳と脳は敏感に変化を感じているということで、改めて訓練された人の感性には改めて凄い能力を感じさせられるのである。

 

 先月には、MJ誌にスピーカーの製作記事を掲載されていた鈴木康平氏のスピーカーが完成したとのことで、そのサウンド聴かせていただいた。

 特性を最優先して設計・製作されたスピーカーであるが、そこでも最後は人の感性によって音楽的な詰めが残る課題を改めて感じさせられた。

鈴木康平スピーカー製作記事 

 クロスオーバーの見直しと並行して、サブスク音源のBluesound Node 2iストリーミング・プレーヤーのサウンドも追い込んできた。

 

 COAXIALによるデジタル接続で使っているが、再生経路の様々な見直しで随分とNASによるファイル再生のレベルに近づいてきたのであるが、なかなかファイル再生のレベルを超えるまでには至らなかった。そんな状況から、今まではサブスク音源をCDショップの試聴用音源の役回りで、よい音源と出会えばそのCDを購入してNASにリッピングしてきた。

 

 今月になって国内でもBluesound Node 2i CPUの高速化とS/N比も3dB程度改善された後継機であるNODEが発売されたので早速に調達した。

Bluesound NODE


 結果、Amazon-HDHDモードでもファイル再生と同格のサブスク音源と思えないくらいの鮮度が得られるようになった。

 いよいよBluesound NODEでCDを調達する場面もかなり少なくなると期待できる。

 残念ながら、NODEによるNASのファイル再生については、音質、操作性ともLUMINには及ばないので、Amazon-HDのストリーミング音源とNASによるファイル再生と並行して音楽を楽しんでいきたいと思っている。

 

 まだ、NODEにしてから日が浅いが、来年にはストリーマーだけでも充分な音源としてオーディオライフを楽しめそうであると同時に、今後このサブスク音源のサービスの拡大と再生環境についても様々な新製品の登場が予想されるであろう。

今後、音源の再生環境もサブスク音源を中心に本格的な変革の時代に入っていくことは間違いない。

オーディオ・セッション2021

 大阪で毎年開催されてきたオーディオ・ショーは、昨年はコロナで全て中止となったが、今年はオーディオ・セッションのみが開催された。

 小生のオーディオ・イベントに参加する目的は、いつも新しいスピーカーと、それぞれのブースでデモ音源として使用される音源との出会いを期待して参加している。
 音源については、最近はファイル再生が多いので、気に入った音源は、スマホにインストールした検索アプリ「Shazam」でアルバムを確認している。

 今年注目のスピーカーは、やはりB&W800シリーズのニューモデルで、オーディオ・セッションでその出展があるとのことからそのサウンドを確認したく参加申込みをした。

 B&W801D4のデモは、午後2時にデモ演奏されるということで、それまでに様々な出展ブースを回った。

 ハーマンのブースでは、JBL-4349という2Wayのブックシェルフのホーンタイプのスピーカーであったが、久々に強烈なトランペットのジャズ演奏を聴いた。
 久々に聴いたJBLの真骨頂ともいえるホーン・サウンドで、未だJBLサウンドは健在であった。
JBL4449.jpg
 
 JBL75周年を迎え、記念のICONIC SOUNDLP盤がStereo Soundから出たので、現在手持ちのLP盤を断捨離している最中にもかかわらず、50周年の記念CDも持っていたことや、40年近くもJBL-4350WXAを使ってきたこともあって、思わず衝動買いしてしまった。
 LPが到着後、早速に192kHz/24bitでデジタル化もしてNASに取り込んだ。
アルバム写真 (1)

アルバム写真 (8)

アルバム写真 (6)

アルバム写真 (7)

 TADのブースでは、リリースされたばかりのTAD-E2-WNというスピーカーを聴いた。
 TADでは初めてのスリムなフロアータイプで、外観はTADの定番であるCSTというコアキシャル・ユニットにダブルウーファーの3Wayモデルと思いきや、CSTの様なデザインをしたウェーブガイド付きのベリリウム・ツィーターで、ウーファーは同じ口径のアッパーウーファーとボトムウーファーという呼称で、いわばスタガードライブ構成になっている。
 エンクロージャーの幅を抑え、フェーズを合わせるために若干後方に傾斜をもたせたデザインになっている。
TAD-E2-WN.jpg

 TADの既存モデルのリファレンス・スピーカーの鳴り方ではなく、スリムなサイズであるが中低域に厚みのある開放的なサウンドで、ある程度エンクロージャーにも響きをもたせたとのことで、実に音作りのうまさを感じさせるサウンドで、2ヶ月前に大阪のシマムセンで聴いたブックシェルフ型のリファレンス・スピーカーである「Compact Reference One CR1TX」とは、同じ音源でもかなりニュアンスが違い、音楽を楽しく聴かせるスピーカーであった。
 音楽を楽しく聴かせるバランスとはどの様な要素なのかを考えさせられると同時に機会を見て、もう一度じっくり聴いてみたいと思ったスピーカーであった。

 時間調整で参加したJVC8Kプロジェクターの視聴映像を鑑賞してからB&W801D4の展示ブースに向かった。
BW ブース

 ちょうど802D4のデモタイムが終わり、入場者の入替えで都合よく前から2列目センターのベスト・ポジションに試聴座席が確保できた。

 デモの開始時間になっても設置されたスピーカーが802D4のまま置かれたままなので、どうなっているのかと思いきや、802D4801D4との違いを聴かせる粋な計らいで、1曲目のみであったが802D4801D4の両方で聴くことが出来た。

 801D4は前評判通り、D3からかなり鮮度がかなり上がっている印象である。

 801D4は、802D4に比べて中低域に厚みを感じさせる変化だが、やはり前モデルの801D3に比べて明らかに輪郭がはっきりしている。
BW801-1.jpg

BW801-2.jpg

 数年前の800D3の発表会でも比較的トランジェントの要求されるアルバムが数曲演奏されたが、今回もロック系のアルバムが前半に演奏され、CorneliusのアルバムのDropが演奏されたが、水のバブル音による半端ない鮮度のサウンドを聴くことが出来た。
アルバム写真 (3)

アルバム写真 (2)

 引き続いて演奏されたクラッシックのアルバムでは、元々輪郭が明確なアルバムではあるが、明らかにエッジが鋭い印象で、バイオリンの弦が金属弦に近い印象にすら感じられた。

 ジャンルがロックである場合は、エッジの利いたサウンドが好ましく感じられる場合が少なくはないのであるが、このバランスでアコースティックな弦楽器は弦の響きが硬く感じられることがあるが、まさにその印象である。
アルバム写真 (4)

アルバム写真 (5)

 これは、801D4のエイジングが浅いせいなのか、バランス設定によるものなのか判断できないが、帰宅後に拙宅の「STS-Ulitimate」でデモ音源で試聴をしたのであるが、確かにB&W D4シリーズの鮮度が極めて高いスピーカーことによるサウンドの傾向であることは間違いない印象である。

 今月の後半には、大阪のシマムセンで再び801D4の試聴会があるので、さらにサウンドを再確認したいと思っている。
プロフィール

京都のまつ

Author:京都のまつ
マルチアンプ方式の再生にこだわる
オーディオファイルのサイトです。

最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR